香りと旅して

香りと旅して

花の流通日本一!大田市場へ

今回の香り旅はこちら。東京湾岸地区に位置する、日本最大規模の中央卸売市場「大田市場」。「花の香り」をテーマに、大田市場花き部門の卸売会社「株式会社大田花き」さんを訪れます。一体どんな種類の花・香りと出会えるのでしょうか。

大田市場について

鮮やかな花のオブジェが目印

大田市場は、東京都大田区にある青果・水産・花きを取り扱う都内最大級の卸売市場です。
青果・花きにおいては、全国最大規模にもなります。
さらに、大田花きの取扱高は国内第一位。
北は北海道から南は沖縄まで日本全国、さらには海外の花の産地から鮮度の高い花きが絶えず集まるのです。

周囲には、貨物ターミナルや羽田空港、市場と産地をつなぐ首都高速湾岸線が行き交う、まさに物流の拠点ともいえる場所に位置しています。

「花き」とは、観賞用の植物全般のことをいいます。
切り花、鉢物、苗物、芝生、盆栽などを総称した言葉です。”目で見て楽しむ植物”はすべて「花き」に含まれます。

活気に溢れる仲卸通りは争奪戦

切り花が入った段ボールが山積み!

市場の朝はとにかく早い!

この日の待ち合わせは、午前7時。
眠い目をこすりながら、電車を数回乗り継ぎ目的地へ到着。

正門にて取材許可の腕章を受け取り、いざ仕事モードに切り替え!

どこから入って良いものか、タジタジしながら指定された道を進んでいきます。
駐車場を抜けると、段ボールが山積みになった台車が所狭しと並んでおり、その間をターレが慌ただしくはしっています。

本当にこの場所に入ってしまって良かったのだろうか。

そう思っていると遠くの方から、ご担当してくれる塚田さんが迎えにきてくれました。

「おはようございます!」

眠気が伝わらないよう、精一杯の声でご挨拶。

「さぁ、お花がなくならないうちに早速仲卸通りを見に行きましょう!」

訪れたタイミングは、花き業界の最も繁忙期と言われる「母の日」直前の日。
花の流通量がいつも以上に多い分、買い付けにくる業者の方もいつもの何倍にもなるそうで、店頭から花が無くなるのが早いそう。品種で数えるとなんと2万種類ほどの花きが流通しているとのこと。
期待に胸が膨らみます。

台車を避けながら、奥にある「仲卸通り」へ。
こちらには、18社の仲卸会社が軒を連ね、買い付けにくる業者へ花の販売を行っています。

早朝、花がたくさんあった仲卸通りも午前8時前には取引終盤に

仲卸通りに差し掛かると、植物のグリーンのようなお花の甘さのある香りがふわっと漂ってきました!これには、我々編集部も大興奮!
既に大きな花束をいくつも抱えている方や手押し台車に載せて買い付けにきている業者さんが忙しなく行き交っています。店先には、色とりどりの季節の花がずらりと並んでいます。

母の日直前ということもあり、やはり店頭一面にはカーネーションの束。
王道の赤やピンクだけでなく、淡いオレンジや薄いムラサキ色、カラフルに染められたグラデーションカラーなども最近人気があるようです。

色とりどりの花が店を飾ります
近くにいるだけでフローラルな香り

「やっぱり花の売れ行きが早いですね、早朝はもっと盛り沢山だったんです。」
取材した仲卸・大森花卉さんによると、なんとこの日は朝4時(!)からオープンしていたそうで、店内には空になったケースが積まれていました。

朝早くに売り切れ続出のよう

大田花きの迫力ある「せり」

続いては、花き棟の中央に位置するオークションルームを特別に見させていただくことに。
全国の生産者さんから預かった大切な花を、確かな目利きで、公平公正な取引を行い、適性に価格が決められています。

「せり人」は、厳しい試験を通り抜けた人だけが担当できるお仕事。切り花部門、鉢物部門などに分かれ、大きな声を出して花を買いにきたお客様にアピール中。

遠くまで響く声に圧倒!

遠くまで通る大きな声で活気溢れるせり人に対し、お花を買い付けにきた方々はとっても静か。私がイメージしていた「せり」(前のめりになってお互いに声を張って値段を付け合う)とはなんだか様子が違います。

「ここでは、機械せりで売買が行われているんですよ。また、花きのせりは他と違い、高い値から下げていく「せり下げ」方式なんです。買参人(花を購入しにきたお客様)は、セリ盤の値段が下がる動きを見て欲しい値段の時に手元のボタンを押して落札していきます。このシステムを取り入れたのも、当社が日本で初めてなんです。」

大田花きで購入しているお客様は、花の専門店やスーパーやホームセンター等の流通業者、また仲卸業者、地方の卸売会社など多岐に渡るといいます。
販売方法は、オークション形式で行われる「せり取引」と、せり前にお客様へ値段を決めて販売する「相対取引」の2種類。

現在は取引の約8割ほどが「相対取引」で行われており、事前に売り先が決まっているものがほとんど。残り2割は、せり取引で売り先が決定していきます。
8レーンで行われていましたが、次から次に落札されていく様子は、目にもとまらぬ早さです。

買参人はこちらで値段を決めるそう

「せりは、スピード命なんです。お花の鮮度にも関わるので。」
ただただ圧倒されながら、お花の売買を見届ける私たち。

オークションルームは、冷静ながらもふつふつと熱い時間が流れていました。

大田市場では、一般の方も入場できる「見学コース」も設けられているので、個人見学も可能とのこと。

当初のせり盤。ものすごく大きい!

ぜひ活気溢れる市場に訪れ、季節の花の香りをご体験ください!
続いては、大田花きの名物部長「香りのスペシャリスト」への特別インタビュー。

こちらも必見です。

vol.2

TO TOPTOPに戻る