香りと旅して

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【熊本】湯けむり香る、わいた温泉郷の古民家温泉旅館

小国杉(おぐにすぎ)の取材で、熊本県の阿蘇を訪れた香り旅編集部。
街歩きでは、真っ白の湯けむりに包まれた「わいた温泉郷」を散策し、この土地ならではの地獄蒸し料理が楽しめる温泉旅館「和楽の里 たけの蔵」に宿泊しましたよ。その魅力をたっぷりとレポートします。

1.わいた温泉郷・湯けむり道

今回の街歩きは、阿蘇くまもと空港から車で1時間半ほどの場所、大分県との県境に位置する「わいた温泉郷」。
わいた温泉郷は、登山客やハイカーに人気の涌蓋山(わいたさん)のふもとにあり、「地熱」を利用した温泉地帯。はげの湯、岳の湯、地獄谷温泉など、個性豊かな6つ湯処があります。

さっそく見所のひとつ「湯けむり道」を歩いてみると……

道路の割れ目や民家の石垣、地面から突き出た年季の入ったパイプなど、街のいたるところから勢いよく蒸気が吹き出しています。これはこの地域特有の「地熱」による蒸気。

民家の敷地にある水たまりのようなところも、ぐつぐつボコボコとお湯が湧いているからびっくり!雨上がりということもあり、周囲には霧が立ち込めていて、道のすぐ先も真っ白です。

硫黄の香りも感じられ、街全体が温泉地のよう。この地域の方々は、この地熱の力を使って自宅に乾燥部屋を作ったり、温泉を引いたりして暮らしに役立てています。
中でも面白いのが、地熱を利用したその名も「地獄蒸し」。

写真は、屋外にあった地元住民専用の蒸し釜ですが、近隣の温泉を利用すれば観光客でも使える蒸し釜があります。
温泉の入浴前に、卵や野菜、鶏肉など好きな食材を蒸し釜にセット。入浴後は、出来立てほかほかの「地獄蒸し料理」が楽しめます。わいた温泉郷に来たら、ぜひとも体験してみたいですね。(蒸し釜のご利用は、各温泉施設までお問い合わせください。)

2.ゆったりとした時間を楽しむ「和楽の里 たけの蔵」

今回の旅のお宿は、わいた温泉郷にある はげの湯温泉「和楽の里 たけの蔵」さん。先ほどの湯けむり道から、車で3分ほどのところにあります。

どっしりとした佇まいの入り口を入ると、まるでタイムスリップしたかのような、どこか懐かしさを感じる館内。お宿に入る瞬間って、ワクワクしますよね。

客室は全部で8室。そのうち5部屋が露天風呂付きという、なんとも贅沢なつくりのたけの蔵さん。
わたしたちが泊まったのは、「大ガメの湯」という露天風呂が付いた6畳のお部屋。パーソナルな空間で、お風呂と景色を満喫できちゃいます。

お掃除の行き届いたお部屋は気持ちがよく、荷物を置いてほっとひと息。
畳のお部屋っていいですよね。個人的にベッドより、畳に布団を敷いて寝るスタイルが好み。スマホとかメガネがベッドの隙間に落ちる心配がないですし、大の字で寝られる開放感は格別です。

お宿の外にはたけの蔵さん専用の地獄蒸しの釜があり、今宵のメイン料理にも使われます。わいた温泉郷自慢の「地熱蒸し」、楽しみです!

夕食をいただく食事処も情緒たっぷり。天井が高く、立派な梁や柱が印象的。
2024年4月で20周年を迎えるたけの蔵さんは、古民家10軒分の材料を使って作られていて、古いものでは280年前の建材もあるのだとか。

広々とした館内は、日々の忙しさを忘れさせてくれるような温かみが感じられます。壁にかけられた大きな古時計も素敵。

さあ、いよいよお宿の楽しみ、夕食の始まりです。

3.地獄蒸し&熊本の食が満喫できるお宿ご飯

熊本といえば、やっぱり「馬刺し」。これがいただけるのは観光客にはうれしいですね。
綺麗な赤身のお肉は、噛むごとに肉の旨味がしっかりと感じられてとっても美味しい!その手前にあるのは、あまりお目にかかれない馬刺しの燻製。こちらも口の中で抜群の存在感を感じます。

ほかにも熊本名物のからしれんこんや、鮎の塩焼き、鮭のテリーヌなど、ひと手間もふた手間もかけられたお料理がずらり。見た目も楽しく、目移りしてしまいますね。

そしてこちらが、メインのお料理「あんかけ蒸し鶏」。
先ほどの蒸し釜で2時間〜2時間半ほどかけてじっくりと蒸し上げられた鶏肉は、ふっくら柔らかくてホロホロの食感。
酸味の効いたさっぱりとしたあんかけがまた美味しく、お野菜やきのことの相性も◎。

家族で食べるような大皿料理でしたが、編集部2名できれいに完食!
すでに大満足でしたが、シメには稲庭うどんのジャージャー麺に、デザートまでついて、もうお腹もパンパン!美味しさもボリュームも、言うことなしです。

この日はわたしたちの他に2組の宿泊客がいて、「どこから来たんですか?」「写真撮りましょうか」と自然と会話が生まれていました。これもこのお宿の持つ温かさの成せる技でしょうか。

4.地熱を利用した「カメ炬燵」

食事処近くのラウンジには、立派なコタツがありました。よく見ると、下には大きなツボのようなものが。

女将さんに聞くと、これは「カメ炬燵(かめごたつ)」といって、地熱の蒸気を引き入れて暖をとるものなのだそう。この辺りでは一般の家庭でもこのカメ炬燵が使われているといいます。

この他にも、お宿では館内の暖房に地熱の蒸気を利用。冬は雪が積もり、凍結するほど冷え込みが厳しいというから、自然のエネルギーが使えるのはありがたいですね。
地熱がこの土地の暮らしに根付いていることを、垣間見ることができました。

5.湯の花の浮くお宿の温泉

たけの蔵さんは、男女別の露天風呂の他に、内湯が2つあります。
こちらの温泉は、なんと「24時間」利用できるんです。多くのホテルや旅館で入浴時間に決まりがある中、これはうれしいですね。時間を気にせず、自分のタイミングでゆっくりと温泉を楽しむことができますよ。

さらに、平日の宿泊では一部露天風呂の貸切が可能に。ひとりで温泉を満喫したい、家族や友人とゆっくり入りたい、という方は平日狙いがおすすめです。

洗い場のある内湯は、大きな丸い桶風呂と、重厚感のある石風呂の2種類があり、時間で男女の利用が入れ替わります。
お湯は単純硫黄温泉。匂いはさほどなく、肌あたりもなめらか。お湯には温泉成分が凝縮・固形化された「湯の花」も見られますよ。

どのお風呂も風情があって、時間を忘れてただただゆっくりと浸かっていたいお風呂です。

お部屋に付いた露天風呂「大ガメの湯」も趣のあるつくり。水瓶(みずがめ)として使われていたカメをお風呂に利用しています。

目の前は季節柄かちょっと草木が生い茂っていましたが、棚田とクヌギ林が広がっています。近くにあるという地熱発電施設のゴーッという音が耳に心地よく、縁にもたれてうつらうつら……。
ひんやりした空気の中、一人で入る貸切風呂。ご褒美のような時間が過ごせます。

6.出発間際まで満喫できる、温かみのあるお宿

2日目の朝は、朝食に出される地獄蒸しの様子を見学させていただきました。

釜の蓋を取るとアツアツの蒸気がぶわっと吹き出し、中からは葉色がきれいに透き通ったキャベツが。これはおいしそう!

そしてこちらが出来立てほやほや、キャベツの地獄蒸し。
蒸し釜の湯気からは、硫黄のような温泉っぽい匂いがしていたけれど、あの匂いが食べ物についていないのが不思議。

ふんわりとろけるようなキャベツに、さっぱりとしたお醤油ベースの味付け。これはご飯も進みます。
他にも食材の味が楽しめる和食のメニューが並びます。これは一日しっかり動けそう。

温かみのあるお宿にすっかり魅了された編集部。
わいた温泉郷の「地熱」エネルギーを、食と温泉でしっかりと体験させていただきました。

新緑の季節や、ミヤマキリシマ(天然記念物のツツジ)が見頃を迎える5〜6月頃が特に賑わうというたけの蔵さん。
家族旅行や記念日の旅行、親御さんへのプレゼント旅行など、特別感を味わいたい時にもおすすめしたい温泉旅館です。

<今回お世話になったところ>
和楽の里 たけの蔵
熊本県阿蘇郡小国町西里3051
HP

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