香りと旅して

香りと旅して

【石川県】ひがし茶屋街の香り体験

編集部はさらなる金沢の香りを求め、江戸時代に茶屋街として栄えた町並み「ひがし茶屋街」を散策。
当時の歴史が現在もなお残る、茶屋街ならではの素敵な体験をしてきました。

1.重要文化財「志摩」で歴史をたどる

着物を着て散策する人も。風情があります。

細い路地を歩いていくと急に他とは雰囲気の違う街並みが。
午前中の早い時間から訪れましたが、既に多くの観光客で賑わっています。

中には、着物姿の女の子やカップルがちらほら。これがすごく画になるんです。
「わたしたちも、、着たかったね。」
そんな羨ましがる気持ちを抑え、街並み散策スタート。

ひがし茶屋街は、江戸時代に芸妓がお客をもてなす場として発展し、 裕福な商人や町人などが夜な夜な遊芸を楽しんでいた場所。
なんと、お支払いはすべて「後払い」清算というなんとも独特な文化もあったそうです。
そのため、信頼できる客しか招き入れないことから「一見さんお断り」という言葉が生まれたんだとか。(※諸説あり)

編集部がまず向かった先は、重要文化財にも制定されているお茶屋「志摩」。

「志摩」入り口。静かな佇まいです。

1820年に建てられた格式の高いお茶屋さんで、当時の姿をそのまま残しているのは全国でもここだけ、という貴重な建物です。

はじめて入る茶屋に少々緊張しながらも、チケットを無事購入。
文化財を守るため、もちろん土足厳禁。手荷物も入り口のロッカーに預けます。
拝観は「一見さんお断り」ではないのでご安心を♪

朱色に塗られた華やかな壁や黄金に輝く屏風に灯籠、実際に使われていた三弦や琴、御座敷太鼓などが展示されていて、当時の艶のある雰囲気が伝わってきます。

想像以上の大きさに驚き。

拝観後には、抹茶をいただける併設された茶室へ。
抹茶の香りって地域によって違うのかな。季節によって抹茶って変わるの?そんな疑問を抱きながら茶室へ入ると、掘りごたつ風のカウンター席が10席。

中庭の見える中央に着席すると、抹茶と上生菓子が順番にわたしたちの前へ。
ソワソワしながらも、まずは茶屋街で作られたお菓子をひと口。
そして、ぎこちない手つきでお作法を終えると抹茶をさらにひと口。

なかなか味わうことのない風情ある空間に、編集部の口数は徐々に減っていきます。
時間を忘れたくなるほど居心地の良い茶室でしばし休憩をし、次なる場所へと向かいます。

豊かな気持ちになる香り高いお抹茶。

2.世界にひとつ!自分専用の香りづくり「町屋塾」

茶屋街の中心部から少し離れた「和の時空 町屋塾」は、お香づくり体験をはじめ、お茶や踊り、ボディケアなどを体験できる学びの場。

味のある素敵な看板。

門をくぐると塾長の宇都宮さんと今回の先生である香司の友代香さん(愛称:とよちゃん)が笑顔で出迎えてくれました。

香司とは、文字のとおり”香りを司る人”。
調香から仕上げまでを一貫して行う、香りの専門家です。
町屋塾ではカウンセリングをしながら、参加者に合ったオリジナルの香りを調香してくれます。はじめてのお香づくりに編集部2人も少々緊張気味。

「肩の力を抜いてリラックスしていきましょう♪」先生のやさしい言葉を合図にお香づくりがはじまりました。

ユーモアたっぷりの友代香先生。会話が弾む弾む♪

はじめは、香りの軸となる「白檀 (びゃくだん) 」から始まり、体や心を沈める効果のある「沈香(じんこう)」の他、「没薬(もつやく)」「麝香(じゃこう)」など数十種ほどの香りを嗅ぎ、直感で香りを選ぶ 作業です。
こんなにたくさんの香りを嗅ぐのは、ふたりとももちろん初めて。
悩みながらも香りの感想を伝え、好みの香りを選んでいきます。

「普段のストレス解消法は?」「好きな色、好きな果物は?」など、様々な質問を投げてくれるので、いつの間にかスラスラと自分自身のことを話していることに気がつきました。

とよちゃんのカウンセリングは、和気藹々と進んでいくので香りの知識がなくても大丈夫。
リラックスした雰囲気の中、カウンセリングと香り選びは続きます。

香りの原料。30種ほど用意されていました。

途中で、香りに慣れてきてしまった時には熱々の「加賀棒茶」をひと口いただきます。
お茶の成分には、集中力を高めたり、香りをリセットしてくれる働きがあるそう。
半信半疑で棒茶を飲むと香ばしい風味が鼻から抜け、本当にすっきりした感覚に。
お茶の効果をこんなところで感じるなんて。

体験している茶室は、茶屋街のメインロードから少し外れた立地なだけにとても静かな世界。自然光が柔らかく差し込む穏やかな空間は「五感で香りに集中する」には、最適な環境です。

香炉で香りを楽しむ時間。

じっくり時間をかけて香りを選び終えたら、続いては、瞑想の時間。
心の奥にいる本当の自分を見つけ「香り」として表現できるのが、この体験の面白いところなのよ。

元々は、病院で精神科のセラピストとして働いていた友代香先生。
香りの力に魅了され、地元石川で ”香司”の道に入ることに決めたそうです。

友代香先生に話を聞いてもらいたいと、全国から多くのお客さんがここを訪れています。
なかには、泣きにきたという男性客もいるほど。

目を閉じて自分との対話の時間。

「長い時間、お疲れさまでした!」
ようやく、全行程が終了しました。相当悩みながら選んだこともあり、所要時間はなんと4時間越え。先生もここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

最後の香りの配合は、選んだ種類とカウンセリングによって変わるので、ここが一番の腕の見せどころ!と、とよちゃんは少しずつ香料をすり鉢に混ぜ合わせ、微調整を繰り返します。

香りの配分はとよちゃんの腕の見せ所。

そしていよいよ、世界にひとつだけの「香り」が完成。

同じ空間で同じ香りを嗅いでいるのに、お互いに香りの感じ方・感想が違い、選んだ香料も配分も全く違う。香りの奥深さを改めて実感することができました。

完成した香りは当日持ち帰りOK。
ちゃぶ台の上に並べられた色とりどりの専用ケースから気に入った柄をチョイス。
いろいろな種類・柄があるので、お気に入りを探してみて下さいね。

和風の柄がどれも可愛い♪
(左)菊青海波文様と(右)青海波文様をチョイス。

歴史が残るひがし茶屋街には、五感を使って癒しを感じる非日常体験があふれています。
ぜひ、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

<今回お世話になったところ>
「お茶屋 志摩」
石川県金沢市東山一丁目13-21
076-252-5675
http://www.ochaya-shima.com/

「和の時空 町屋塾」
石川県金沢市東山1-34-6​
076-252-3176
https://www.machiyajuku.com/

TO TOPTOPに戻る