香りと旅して

香り

お香の種類と楽しみ方

古くから日本人に親しまれている「お香」。
お香と聞くと、スティック型やコーン型のものを思い浮かべる方が多いと思いますが、実は「お線香」や「香木」も、お香の種類に含まれるってご存知でしたか?
今回は、お香の種類と合わせて、それぞれの特徴や用途をご紹介します。

1.お香の主な使用方法

1500年も昔から、人々の暮らしの中で親しまれてきた「お香」。
現在でも、来客の時間に合わせてお香を焚いたり、趣味の時間やリラックス、気分転換、空間の浄化など、さまざまなシーンで利用されています。

お香は種類が多く、お線香や香木、匂い袋などもお香の種類に含まれます。
お香の香りを楽しむには、以下の3つの方法があります。

直接火を付けて焚く方法……線香、香木など
間接的に熱を加える方法……香木、練香など
常温で香りを楽しむ方法……匂香(匂い袋)、抹香など

加える熱(火)が高いほど香りの広がりが早く、香りを出す時間は短くなります。
ではさっそく、お香の種類とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

2.線香(せんこう)

お仏壇、お墓参り、法事などで欠かすことのできない「お線香」。
仏教では「香食(こうじき)」という考えがあり、仏様はお線香の煙や、ご飯の湯気などの “香り” を召し上がるといわれています。また、お線香の煙は心身や場を清浄、この世とあの世をつないで、仏様と対話ができるともいわれています。

一般的に使われている13cm程の「短寸線香」の場合、燃焼時間は25〜30分程で、これはお経を1回読み上げる時間に合うように作られています。

「お香を焚く」という表現の「お香」は、「線香」のことをいいます。
香りを楽しむ目的で使われる線香は「お香」と言い、正式な分類では「線香」になります。仏事で使われるものはそのまま「線香」と、それぞれ呼び名を使い分けています。

香りを楽しむために使う「お香」は、スティック型、コーン型、渦巻型の形状が主流です。

スティック型(棒状)は、燃焼面積が変わらないため、香りが均一に広がります。折って使うこともできるので、焚く時間を調節することができ、ヨガや禅などのシーンでも多く利用されています。

コーン型(円錐型)は時間とともに燃焼面積が広くなり、香りや煙が強くなります。大きさによりますが、燃焼時間は数分〜15分程度。短時間で強い香りを楽しみたい方におすすめです。灰が散らかりにくいというメリットもあります。

渦巻型は燃焼時間が長いため、広いお部屋や空間での使用に向いています。

それぞれ、 香炉、もしくは香立て・香皿を使い、お香の先端に火をつけ、炎を落ち着つかせてから香りを楽しみます。

3.焼香(しょうこう)

焼香は、香木や香草などを細かく刻んで混ぜ合わせたお香です。
沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)、竜脳(りゅうのう)などの香りを組み合わせますが、他の香料を用いることもあります。合わせる香料の数により、「三種香」「五種香」とも呼ばれます。

線香と同じく、心身を清浄な状態にし、仏様と故人に香りを届け、成仏を祈るなどの意味が込められています。

4.香木(こうぼく)

香木には伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)などの種類があります。
天然の香りなので安定した供給が難しく、沈香の最高級・伽羅においては現在入手がほとんどできない状態です。

香木には、香炉を手で覆って香りを鑑賞する「聞香(もんこう)」と、部屋などの空間に香りを広げて楽しむ「空薫(そらだき)」という焚き方があります。いずれも香炉(香炉灰)の中に熱した炭を埋めて間接的に香木に熱を伝えるため、煙を出すことなく香りを楽しむことができます。

ひと手間かけた焚き方ですが、ゆったりとした豊かな時間を過ごすことができるので、リラックスしたい人や、香りの世界を堪能したいという人におすすめです。
空薫は、後出の「練香」と「印香」でも使うことができます。

5.匂香(においこう)

匂香(匂い袋)は、天然の香料を刻んで調合したものを、巾着などの小袋に入れたものです。タンスやバッグ、ポーチ、着物の帯揚げなどに忍ばせて、移り香を楽しみます。
香水とはまた違った、ほのかで奥ゆかしい香りが特徴的。袋の色や絵柄も楽しめます。

常温でそのまま使えるので、「お香の煙りが苦手」「火の取り扱いが心配」という方におすすめです。

6.練香(ねりこう)

練香は、沈香などの粉末にした香料に、梅肉や蜂蜜を加えて練り固め、真珠ほどの丸い球体にしたお香です。
香木と同じように、間接的に熱を加えて香りを楽しみます。
「薫物(たきもの)」とも呼ばれ、古くは平安貴族のたしなみとして使用されていました。現在では、主に茶道の場で使われています。

7.抹香(まっこう)

抹香は、沈香や白檀などを細かい粉末にしたお香です。
昔は香りの燃焼で時間を計る時香盤(常香盤)に使われていました。現在は焼香の際などに使用しています。

8.塗香(ずこう)

塗香は、手の甲や首元などに直接塗って体温で香らせる、細かい粉末状のお香です。
修行者が身を清めたり、身だしなみとして使われていました。現在は主に写経を行う前のお清めとして、手に塗って使用しています。

9.印香(いんこう)

印香は調合した香料を、梅や花などの形に固めたお香です。香木や練香と同じく、間接的な熱を使って香りを楽しみます。

いかがでしたか?一言に「お香」といってもさまざまな種類がありましたね。気になったものがありましたら、この機会に使ってみてはいかがでしょうか。

参考サイト
初めてでも大丈夫!お香の使い方・楽しみ方|香源

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