【京都】海と生きる城下町散策
海外からの観光客も増え、大賑わいを見せている春の京都。
京都というと寺院巡りや食べ歩きなどが真っ先に浮かんできますが、今回の香り旅は、ちょっと足を伸ばして京都北部の街「舞鶴」へお邪魔してきました。
日本海を望む、吉原漁師町
京都市内から車で約2時間、たどり着いたのは海に面した小さな集落。
ここは、外海につながる運河沿いに住居が並ぶ「吉原漁師町」と呼ばれています。
かつて、横須賀・呉・佐世保に並び海軍の拠点地とされた舞鶴は、国防の城下町として栄えていました。そんな中でもここ吉原地区は「京都の漁業発祥の地」として発展を続けて今なお受け継がれています。
潮の香り漂う細い路地は、車1台通れるほど。
住人の方に許可を得て、運河脇のスペースに車を停めさせていただき散策開始。
運河の両脇には、大小さまざまな漁船がきれいに並べられています。
道端には、漁に使うであろう大量の網やカゴがたくさん。
ここ舞鶴湾では、メバルやカサゴ、アジなどが漁れるそう。到着したのは、お昼前だったため、この日の漁は既に終了したのか、街はひっそりとした様子です。
写真を見て何かに気がつきませんか?
そう、住居と運河との高低差がほとんどないんです。この日の潮は「小潮」。
潮位(潮の満ち引き)はそれほど大きな変化はない日でしたが、海面から陸上までの差は、ざっと1mほど。大潮ともなると、日本海側でも0.4mほどの潮位差が出てきます。
洪水にはならないのかな…。
そんな心配が頭をよぎりながらも散策を続けていると、心地よい潮風が私たちを歓迎するようにやさしく包み込んでくれました。
一本路地に入ると、細い道路を挟んで昔ながらの住居が並んでいます。地元の方は、路地の石垣に腰掛け何やら井戸端会議中。
海を身近に感じられる吉原漁師町、夕方には、どこからともなく魚を焼く匂いが漂いはじめるのだそう。
初めての”撮り鉄” 京丹後鉄道
吉原漁師町からさらに北西へ車を走らせ向かった先は、由良川橋梁(ゆらがわきょうりょう)。日本海の若狭湾へと流れ出る由良川にかけられた全長約552mの橋梁です。
この橋を渡る「京丹後鉄道(KTR)」は、西舞鶴駅〜天橋立や福知山へと伸びるローカル鉄道。
車窓から見える景色を眺めながらモーニングやランチがいただけるとあって観光客でいつも賑わっているそう。
今回、ご縁あって旅のアテンドをしてくださった舞鶴市出身坂本さんもお墨付きの絶景ポイント。
坂本さんから教えていただいたからには見に行くしかない!
1時間に1本しか電車が通らないという、過去最強に難しい撮影に挑みます。
(本当は、実際に乗って体験したかったのですが、時間が限られていたため泣く泣く諦めました。)
取材前に念入りに時間や撮影場所を何度も何度も確認して、いざ!
目的地に着いたのは、電車が通過する予定時刻の15分前。近くのコンビニに車を停めさせていただき、カメラと三脚をかついで由良川沿いへ。
やや遠目の位置から電車を狙います。
動画担当、連写担当に分かれて準備万端。今か今かとその時を静かに待っていると….
遠くの方から踏切のカーンカーンカーンという音が響いてきました。
くるぞ…。(ドキドキ)
私は、望遠レンズから目を離さず、さらに自分のスマホでもおさえてやろうという欲深い気持ちでスタンバイ。
ヤーーーー!キターーーーー!
カメラがブレないよう片手で必死にシャッターを押し、もう片手ではスマホを電車に向けて勘で動かしていきます。こんなに緊張した撮影は、本当に久しぶり。
1分足らずの撮影会でしたが、撮れ高はバッチリ!
いかがでしょうか。
海の上を走る、アニメ映画の世界のから飛び出てきたかのような1両の電車。
朱色の橋とのコントラストをきれいに納めることができました!
ちなみにノールックで撮っていたスマホの動画も意外と撮れていました。
(そちらは、香りと旅してのSNSにて公開しようと思いますので、ぜひ合わせてご覧ください!)
緊張のせいか喉がカラカラに乾いたので、先ほどのコンビニで飲みものを購入。
一気に飲み干してしまいました。
そしてようやく、お待ちかねのランチタイム!せっかく漁師町へきたのだからと、寄りたい場所は既にチェック済み。朝からお腹も空かせてきたので、準備はバッチリです。
道の駅 とれとれセンター
やってきたのは「道の駅 とれとれセンター」。看板からもうワクワクしてきます。
ここは、京都府漁協舞鶴魚市場の鮮魚仲買人も出店していると言うほど、新鮮なお魚が集まっています。地元の人も通うほどで、休日にもなると大賑わいなんだそう。
早速、メインの鮮魚市場へ入ってみると中央には大きな生簀。
周りにはお土産屋さん、奥からは香ばしいいい匂いが入り口の方まで漂ってきています。
お腹を空かせた編集部。まずは、店先をぐるっと拝見。
ここは、魚や貝を注文するとその場で炭火焼してくれる贅沢な場所。
なかなか見ることのできないふぐの白子や大きなホタテがずらっと並んでいます。
大きなサバも開きになって炙られていました。これで1尾1,000円未満とは、目からウロコ。
悩みに悩んだ末、私たち編集部が選んだのはこちら。
器に蓋がしてあります。実はこれ「踊り食い」セットなんです!
舞鶴に春を告げる魚、イサザ(シロウオ)。旬の今しか味わえない食べ方なんだそう。
体長約5cmほどの透き通った魚が器の中で数え切れないほど泳いでいます。
しかも、とびきり活きが良いのを店員さんがチョイスしてくれました!
チャレンジ精神旺盛な私たちですが、踊り食いはもちろん人生初体験。
店員さんに食べ方も教わりましたよ。
専用の網でイサザを5匹ほどすくったら(これ以上多いと口の中が大変らしい)、おちょこに取り分けます。付属のポン酢をタラっとかけたら一気に口の中へ流し込む!以上!
中央にあったカウンターに着席していざ実食です。
そーっとすくってはみたものの、ビチビチと動き回る元気なイサザさん。
…ごめんよ。美味しくいただきます!
そう感謝を伝え、ポン酢をたらりと入れるとおちょこから飛び出す勢いで暴れる暴れる!魚が落ちないよう手で蓋をして、一気にズズッと口の中へと流し込みます。
しばらく口の中が”わたパチ状態”でしたが、意を決して味わってみると、ほんのりと磯の風味がしてやや苦味もある感じ。これはくせになりそうです。
食べる度、周囲の店員さんの熱い視線を浴びるという、ちょっと恥ずかしい踊り食いデビューとなりましたが、2人で無事に完食。
イサザさん、ありがとうございました!
そしてもうひとつ。ミネラル豊富な舞鶴湾で育った「育成岩がき」を実食!
プリプリしてて大ぶりです。
「養殖」とは何が違うのだろう、店員さんにお伺いしてみました。
人の手で養う「養殖」ではなく、自ら育つ「育成岩がき」。
岩がきは本来、岩にくっついて成長するそうですが、育成岩がきはいかだから吊り下げて、好物である植物性プランクトンが多くいる水深で育てているので、エサが豊富なのだそう。
だから、人工的にエサを与えるのではなく、岩がきが育つ”環境”を整える育成方法で育てられたため、プリプリとして身が大きいのが特徴のようです。
口に入れた瞬間、興奮して足をバタつかせて取り乱してしまいました。
そのくらい濃厚な味で、他では食べたことのないくらいクリーミー。
皆さんも京都へお越しの際は、ぜひ「イサザ」と「育成岩がき」を御賞味ください。
初めて訪れた”京の海の街”。
寺社仏閣の街並みとはまた違った、新たな京都に出会うことができました。
さて、この後は西舞鶴に今なお残る”レトロな街並み”へと足を伸ばしていきます。