香りと旅して

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【兵庫】初心者でも楽しめる!「源氏香遊び」体験

兵庫県丹波篠山市にある青山歴史村では、「源氏香遊び」というお香を使った香り遊びのワークショップを開催中。知識や経験がなくても、カジュアルな服装でも大丈夫!源氏香の基礎知識から、体験の楽しみ方まで、“香道” の魅力をたっぷりとご紹介します。

1.源氏香(げんじこう)ってなに?

茶道、華道と並び、日本伝統文化の「三道」と称されている「香道(こうどう)」。

香道には、香木の香りを鑑賞する「聞香(もんこう)」と、香りの違いを聞き分ける「組香(くみこう)」があります。(香道の世界では香りは “嗅ぐ” ではなく “聞く” と表現します。

「源氏香」は、組香の一種。組香は香り当てクイズのようなものですが、勝ち負けを競うのではなく、古典文学や季節に触れながら、香りを味わうことが特徴です。

源氏香では5種類のお香を使います。
お香をそれぞれ5包ずつ作り、合計25包の中からランダムに5包を取り出します。5包のお香を5つの香炉で焚き、一つずつ香りを聞いたら、同じ香りかそうでないかを当てていきます。

回答の方法は次の通り。
5つの香炉を縦5本の線で表し、同じと思う香りの線の上部を横線でつなぎます。
この線の組み合わせは全部で52通りあり、54巻ある源氏物語のうち、第一巻と最終巻の「桐壺」「夢の浮橋」を除いた物語名52種類の名前がそれぞれ付けられていて、その名前を使って回答します。

例えば、3番と4番が同じ香り、その他はそれぞれ異なる香りだと思ったら上の図のようになり、物語の名前「明石」と答えます。

江戸時代にはお姫様の嗜みとして広まり、客人は52種類の図とそれぞれの名前を全て覚えていたといいます。

2.城主のお屋敷で初めての香道体験

今回香り旅編集部がお邪魔したのは、篠山城大書院からほど近い「青山歴史村」という施設。ここは篠山城の城主・青山家が明治以降に別邸として使っていた桂園舎を中心に、全国的にも珍しい漢学書関係の版木など、貴重な文化財が展示されています。

こちらで体験できるのは、源氏香を簡易的にアレンジしたという「源氏香遊び体験」。
厳かな雰囲気の門をくぐると、さっそくお香のいい香り!

凛とした空気感に背筋もピン

テーブルには、5つの香炉が並んでいます。歴史ある建造物のため、お香を焚くための香炉も火は使わず、電気タイプのものを使用しているそう。

こちらの体験は、初心者でも、カジュアルな服装でもOK!
さっそくスタッフの方から源氏香についての説明や、遊び方を聞き、体験スタートです!

3.難易度高い?!お姫様の香り当てクイズ

今回体験する源氏香の簡易版「源氏香遊び体験」のやり方はこちら

① 5つの香り(香炉)を右から順番に確かめる
② 5つの香りの中で、同じ香りと思われる香木の番号を確認する
③ 回答用紙に縦5本の線を書き、同じ香木と思われる番号の線を横線でつなぎ、図を作る
④ <源氏香之図帖>から同じ形を探し出し、物語名で回答する

さっそく一つ目の香炉を持ち、ドキドキしながら香りを確かめていきます。

「甘みのある香りに、ちょっとシナモンのような感じもするかな……?」

二つ目、三つ目と確かめていくと、

「あれ?これはさっきと同じ香りかな?いや、ちょっと違うかな。」
「これは香りが強い。スパイスっぽい感じ?」

これまで香りに関する記事をいくつも書いてきましたが、これが一体なんという名前の香木なのか、頭の中が「?」でいっぱいに……

簡易的な体験といえど、なかなか難しい!
そして5番目まで香りを覚えていられない!笑

香りを聞けるのは一度きり。
自分の鼻に自信が持てないまま、回答の時間になってしまいました……

4.回答は源氏物語の名前で

まずは回答用紙に縦線5本を書き、同じ香りだと思った番号の線同士をつないでいきます。そして<源氏香之図帖>から、自分の図と当てはまる源氏物語の名前を探し出し、その名前を記入。

52種類の中から自分の図を見つけ出すのもなかなか大変!昔の人はこの図と名前を全て覚えていたなんて、すごいですね。(源氏物語にこんなにお話があるのというのも知りませんでした。)

「この源氏香の図柄も人気で、着物や帯にも使われているんですよ。」

え〜それはおしゃれ!
香り好きな人にはわかるという、粋な物選び・遊び心ですね。

さてさて、回答用紙をスタッフの方に渡したら、いよいよ結果発表!
わたしの嗅覚から導き出した答えは、1と4が同じの「紅梅」。

正解はなんと……

2と5が同じの「藤袴」でした!
ハズレ……残念!

「実は正解率はかなり低いんですよ。笑」

とスタッフさん。

「お子様連れのお客様もいらっしゃいますが、正解率はお子様の方が高いです。」

子どもの方が感覚が敏感なのでしょうか。うらやましい!

ちなみに実際の源氏香では、正解した数によって点数が付けられ、最高得点の人が勝ち。すべての香りを正解したら「玉(ぎょく)」という称号がもらえるのだそう。

さらに、同じ香木でも内側と外側から採ったものを当てたりもするのだそう。より繊細な香りを聞き分けるんですね。
ちょっとわたしにはできる気がしないです……

今回の体験で使われた香木は、桂皮(けいひ)、白檀(びゃくだん)、丁子(ちょうじ)、山奈(さんな)の合計4種類。

最後にそれぞれの香炉にどの香木が入っていたのかを教えてもらい、再度香りを確かめることに。

一つ目の香り、甘さとシナモンを感じたお香は「桂皮」でした。これはカッシア・シナモンとも呼ばれていて、京都の八ツ橋の香りにも使われているものだそう。

一番香りが強いと感じたのは「丁子」で、これは料理のスパイスとしても使われる「クローブ」と同じものでした。体験のお部屋に入ったときに最初に感じた香りもこれだったかも?

白檀はわかるかなと思っていたけれど、全く判別できず……まだまだ修行が足りませんね!

丹波篠山で作られている「王地山焼」の焼き物付き

お土産にかわいらしい「匂い袋」もいただき、1時間ほどの体験は無事終了。

「源氏香」は敷居が高いかな、とはじめはすこし心配でしたが、嗅覚に集中したり、珍しい図柄を扱ったりと、非日常的な体験を存分に楽しむことができました。

青山歴史村では、今回ご紹介した「源氏香遊び体験」以外にも、常温の香木を使用した「香り遊び体験」と、10種類の香木をブレンドしてオリジナルの匂い袋が作れる「香りづくり体験」のワークショップを開催中。

香りに興味がある方はもちろん、旅行のアクティビティとしてもおすすめです。
伝統的な日本の「香り」に触れながら、優雅な時間を過ごしてみませんか?

丹波篠山市立 青山歴史村
兵庫県丹波篠山市北新町48番地
HP

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