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体にうれしい!香味野菜・薬味の役割

夏に食べたくなる素麺や、冬の定番である鍋料理に添えられる「薬味」。風味を増したり、味を引き締めるなど料理の名脇役として欠かせない存在です。
今回は、薬味に使用されている香味野菜を中心に、薬味の役割をご紹介していきます。

1.香味野菜・薬味ってなに?

「香味野菜」とは、料理の香りや味を引き立たせる風味豊かな野菜のこと。
例えば、生姜、にんにく、シソ(大葉)、ミョウガ、パクチー、ミントなどが挙げられます。独特な香りや豊かな風味、鮮やかな彩りがアクセントになり、シンプルな料理を味わい深くしてくれる存在です。
一方「薬味」とは、香味野菜やその他の野菜、ナッツ類を細かく切るなどして、料理に添えるものをいいます。わさびのすりおろしや、大根のつま、すりごまなども含まれ、作り方や形状も様々です。

2.香味野菜の基礎知識

①香味野菜を使う目的
料理の香りを高めて食欲中枢を刺激したり、彩りを加えたり、味を引き締めて深みを出すなどさまざまな用途があります。

②香味野菜のうれしい効果
香味野菜や薬味は、料理に添えるだけで、見た目・香り・味に深みが増すだけでなく、素材によって殺菌作用、食欲増進、疲労回復、免疫力UPなども期待できます。

ねぎ、にんにく、山椒などには殺菌・抗菌作用、生姜や唐辛子は体温をあげることで知られており、日本の代表的な香味野菜であるみょうがやわさびは消化を助けてくれます。
食欲の減退が気になる夏は、しっかりと食事を摂るためにも、香味野菜の力を借りてみてはいかがでしょうか。

3.薬味の歴史

日本における薬味のはじまりは、江戸時代初期の「うどんの食べ方」。梅干しや胡椒、大根、味噌、醤油などを使用していたようです。
さらに遡ると、平安時代にはアユの塩焼きを食べる時には必ず「蓼酢(たでず)」という柳蓼の葉をすり潰して酢でのばしたものが添えられ、魚の臭みを和らげたり、汁物にはゆずを使って風味を出していたそう。
わさびの歴史も古く、奈良時代には食用として利用されており、蕎麦や寿司の薬味として愛用されていたと伝えられています。

4.香味野菜とそれぞれの効果

生姜

中国では古くから漢方に利用されてきた生姜。日本では体を温める食材として有名ですが、その他にも新陳代謝促進、むくみ解消、肩こり改善などの効果が期待できます。
香り成分である「シネオール」は食欲増進にも効果的なので、暑い夏にもピッタリ!
「ジンゲロン」という成分は血管を広げ、血行促進や、発汗を促します。殺菌効果もあるため、お寿司屋さんではガリとして食べられています。

にんにく

香り付けの代表格で、スタミナがつく食材としても知られています。疲労回復、血行促進、冷えに効果があります。
にんにくの香り成分である「アリシン」は、エネルギーの素となるビタミンB1の吸収を高めます。ビタミンB1を特に多く含む豚肉と一緒に食べることで、疲労回復の手助けになります。

大葉(しそ)

爽やかな風味が特徴的な大葉(しそ)は、花・実・葉の全てが薬味として使われます。
体を温め、発汗や解熱の作用が期待できます。その他、胃腸の働きを整える効果や、香り成分「ペリルアルデヒド」による防腐作用も期待できることから、食中毒の予防として刺身など生ものに添えられています。

みょうが

みょうがは日本でしか食べられない日本原産の野菜。血行を促進し、口内炎・生理痛・生理不順の解消にも効果があります。夏場でもエアコンの冷気などで冷えやすい女性には特におすすめ。
香りの成分は「アルファピネン」という精油成分で、発汗や、呼吸・血液の循環を良くする働き、食欲増進が期待できます。

セロリ

セロリはカロチンとビタミンCを多く含んでおり、カロチンは全身の代謝UP、ビタミンCはストレス耐性力UP、血圧降下などが期待できます。
香り成分である「セダノリッド」「アイピン」は口の中をさっぱりさせる働きがあるので、油っこい料理や肉の付け合わせにも◎
茎よりも葉に栄養成分を多く含むので、余すところなく食べるのがおすすめです。

パクチー

エスニック料理でもおなじみのパクチーは、別名コリアンダー、シャンツァイ(香菜)とも呼ばれます。
強い芳香と独特な風味で好き嫌いは大きく分かれますが、パクチーにはデトックス効果があり、体内に入った有害金属(水銀など)を体外に排出する働きがあります。
香りの成分「ドデセナール」は、サルモネラ菌に特に効果が期待できます。
また、体内でビタミンAに変換される、βカロテン、ビタミンC、ビタミンEなどが多く含まれています。ビタミンAは、目や皮膚の粘膜を健康的に維持したり、抵抗力を強める効果があります。

薬味(香味野菜)は、その言葉通り「薬」としての役割、「味」を引き立てる役割を担っています。
料理に添えると香りや彩りが加わり、食欲をそそる効果、体を温める効果、消化を助ける効果など体に嬉しいことがたくさん!
夏バテによる諸症状対策にも効果が期待できる香味野菜で、快適な夏を迎えましょう。

参考サイト
独立行政法人農畜産業振興機構
香味野菜とは?| ばやし青果

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