飲まない派も楽しめる! 「コーヒーの香り」の効果とは?
淹れたてのコーヒーから立ちのぼる、独特の香ばしい香り。このコーヒーの香りには「リラックス」と「集中力を高める」という2つの効果があります。今回はコーヒーを飲まない人でも楽しめる、コーヒーの香りの楽しみ方をご紹介します。
1.コーヒーを飲む人・飲まない人
コーヒーをドリップしている時や、缶コーヒーを開けた瞬間に感じる、香ばしい香り。
リラックスしたい時、勉強・仕事に集中したい時、眠気を覚ましたい時など、コーヒーを飲む理由も人によってさまざまです。
ドリップの器具にこだわったり、豆の種類をいろいろ試したりと、コーヒーにハマる人がいる一方で、「コーヒーの香りは好きだけど、飲むと胃腸の調子が悪くなる」「夜眠れなくなるから飲まない」といった、飲めない・飲まない派も少なくありません。
しかし、コーヒーを飲む・飲まないに関わらず、コーヒーの「香り」はわたしたちに良い作用があることが、研究の結果明らかになっています。
今回はコーヒーを飲まない人も楽しめる、コーヒーの香りの世界をご紹介します。
2.コーヒーの香りの成分とは?
コーヒーに含まれている成分は、実に約1,000種類あるとも言われています。そのうち「香り」に影響する成分は、800種以上もあるのだとか。
一般的に広く知られている香り成分は、アルデヒド類、ピラジン類、フラン類。
アルデヒド類は、コーヒーの独特な香りを作り出し、アーモンドやバニラのようなほのかな甘みを生み出す成分も含まれています。
ピラジン類はコーヒーの香ばしさ、フラン類はコーヒー特有の甘い香りを持ち合わせています。
これらが複雑に絡み合って、あの独特な奥深い香りを作り出しているのです。
3.豆の種類によって効果が変わる?
「いい香り」「落ち着く香り」など感覚的に捉えられがちなコーヒーの香りですが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。
杏林大学の古賀良彦名誉教授は、コーヒーの香りが人の脳に影響を与えることを実験し、コーヒー豆の種類によっても異なる効果があることが突き止めました。
古賀教授は香りの研究をしていて、コーヒーの香りについてはおよそ10年間研究しているスペシャリストです。
実験では、被験者の頭に小さな電極を貼って「脳波」を計測しました。
20代の女性10人に5分間隔で6種類のコーヒーの香りを数十秒間ずつ嗅いでもらい、リラックスしている時に多く出現する「α波」を指標とし、その脳波を分析するというもの。
コーヒー豆はブラジルサントス、グァテマラ、ブルーマウンテン、モカマタリ、マンデリン、ハワイ・コナの6種類と、比較対照のために無臭の蒸留水も用意。それぞれ中挽きした豆を90℃の熱湯で抽出しました。
その結果、α波が最も多く出現したのは、「グァテマラ」と「ブルーマウンテン」ということが分かりました。また、豆の産地によってリラックス効果の度合いが異なることが明らかになりました。
4.目的によってコーヒーの種類を使い分けると◯
次に、古賀教授は「P300」という脳波の実験を行いました。
P300は「情報処理能力」とも呼ばれていて、人の集中力を図る指標のこと。先の実験と同じ条件のもと、被験者にヘッドホンを着けてもらい「低い音に混じって高い音が聞こえたら、なるべく早くボタンを押す」という課題を出しました。
このP300が出現するまでの時間(ヘッドホンを通して高い音が聞こえてから、脳が「高い音が聞こえた」と認知するまでの時間)が短かいほど、情報処理が早いということになります。
その結果、P300が早く出現したのはブラジルサントス、マンデリン、ハワイ・コナの香りでした。
リラックス効果が高いとされたグァテマラとブルーマウンテンはP300の出現が遅いことが分かり、このことから、コーヒーの香りがわたしたちに与えてくれる作用が証明されました。
<目的別・コーヒー豆の使い分け>
リラックスしたい時……グァテマラ、ブルーマウンテン
集中力を高めたい時……ブラジルサントス、マンデリン、ハワイ・コナ
家でのリラックス用にはグァテマラの豆を使ってみたり、仕事や勉強をしたいときはマンデリンやコナを選んでみたりと、目的によって豆の種類を使い分けると、日常生活にも役立てられそうですね。
5.飲まない人の香りの楽しみ方3選
香りを嗅ぐだけでリラックスなどの効果があるのなら、積極的に使っていきたいですよね。この項目では、コーヒーを飲まない人も楽しめる、コーヒーの香りの楽しみ方をご紹介します。
①ドリップコーヒーを淹れる
なんといっても、淹れたてのコーヒーの香りは格別です。コーヒーを飲まなくても、思い切ってコーヒーを淹れてみましょう。
顆粒のインスタントでも良いですが、おすすめはドリップコーヒーを淹れること。目次4を参考に、目的にあった豆を選んでみてください。
お湯を注ぎ入れた時のコーヒーがふっくらと盛り上がっていく様子や、ゆっくりとコーヒーが抽出されていく時間も楽しいもの。ちょっとしたひと手間を大事にするだけで、豊かな時間を過ごすことができますよ。
コーヒーは実際に飲まなくても、「香りを楽しむだけ」と割り切ればOK。
捨てるのが忍びないという人は、砂糖やゼラチンを加えてコーヒーゼリーにしてみたり、飲む以外の料理やスイーツ作りに活用してみましょう。
ドリップした後のコーヒーかすは、消臭・脱臭剤として活用できます。
バットなどにかすを広げてしっかりと乾燥させ、不織布やガーゼなど目の細かい通気性のある布に入れたら完成です。口は麻ひもやリボンで可愛く結んでみましょう。匂いのこもりやすい靴箱や玄関周り、冷蔵庫、トイレなどにおすすめです。
②カフェに行く
紅茶やソフトドリンクがあるコーヒーショップなら、コーヒーを注文しなくても周囲の香りを楽しむことができます。
豆の種類(特定の香り)を選ぶことはできませんが、種類が豊富で、本格的な抽出をしているお店であれば、豊かな香りの重なりを存分に楽しむことができます。
コーヒーの香りを感じながら過ごすカフェタイム。読書や勉強も捗りそうですね。
③アロマアイテムを取り入れる
コーヒー豆の種類を限定することはできませんが、「コーヒーの香りを身近に感じていたい」という人にはアロマアイテムもおすすめ。
コーヒーの香りのするアロマキャンドルやお香(インセンス)、リードディフューザーなどがあります。
使う場所や広さによって、使うアイテムを選んでみてくださいね。
いかがでしたか。
コーヒーを飲まなくても、コーヒーの香りの効果を活用すれば、リラックスタイムや勉強時間がもっと豊かなものになりそうですね。ぜひ参考にしてみてください。