「香り」「匂い」「臭い」の違いとは
日本語には、同じ言葉・発音であっても、漢字が異なると使い方や意味が変化するものがあります。今回は、「香り」「匂い」「臭い」の使い分け方法や、それぞれの言葉が与える印象についてご紹介します。
1.言葉の使い分けとそれぞれの意味
さっそくそれぞれの言葉の持つ意味についてみていきましょう。
ー香り
良い香りや、好ましい香りを表現する言葉です。
「フローラルな香り」「女性向けの香り」など、華やかで高貴な場合に使われます。
ー匂い
匂いには、様々な定義がありますが、香りと同様に良い印象を与える言葉です。
「花の匂い」「香水の匂い」「ご飯が炊ける匂い」など、暮らしの中で感じる匂いを表す時に適しています。
人によって快・不快の感じ方が違ったり、判断が難しい場合には “ほのめかす” という意味で「におい」「ニオイ」などの表現をすることもあります。
ー臭い
良くない香り、不快なにおいを表現する言葉です。
「下水が臭い」「ゴミの臭い」などとして使用されます。文面で表すときに変換を間違えてしまうと悪い印象を与えてしまう可能性もあるので注意しましょう。
このように、良いと感じる場合には「香り」、悪いと感じる場合には「臭い」、このような感情が含まれないものを一般的に「匂い」と表されます。
2.「香り」の種類とタイプ
私たちが嗅覚を使って感じとるにおいは、数多くの有機化合物が複雑に混ざり合って構成されています。例えば、バラの香りを分析してみると、100種以上の有機化合物の集合体と言われています。
においを表現する上で「香り」は7種類のタイプに分けることができます。
主要なタイプは以下の通りです。
①シトラス
レモン、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘系の香り。香り立ちがよく、オーデコロンの香りなどに用いられる。
②シングルフローラル
バラ、ジャスミン、すずらんなど数多い花を一つのモチーフとした、可愛らしい香り。
③フローラルブーケ
ブーケのように花の香りを混ぜた豪華な香り。日本人女性が好む香り。
④フローラルグリーン
花にグリーンやアオリンゴなどの香りを入れた、ナチュラルな香り。
⑤フローラルアルデハイド
力強くモダンな香りでセクシーな雰囲気もある。
⑥シプレー
ウッディ系の香りを基調とし、シトラスや花の香り、アニマルノートを入れた、重厚な香り。
⑦オリエンタル
独特な甘みのあるエキゾチックな香り。
参考:日本香料工業会
「香り」という言葉は「香料」とも呼ばれ、良い印象を与える時によく使われます。
この香料がもたらすイメージは、以下があげられます。
・異性への魅力
・雰囲気づくり
・ストレス解消
・気分転換、リフレッシュ
・清潔感
3.香り・匂い・臭いと感情
香り・匂い・臭いは、感情にも影響を与えることが解明されています。
私たちは、鼻を通じて空気中に漂うにおいの化学物質を感じ取り、電気信号として脳に伝えています。この電気信号は、脳の中で記憶や感情をつかさどる「海馬」へと伝わります。そのため、香りを感じることで過去の記憶が蘇る現象(プルースト現象)が起こります。
また、電気信号は自律神経にも作用する「視床下部」と呼ばれる部位にも伝わるため、香りによってリラックス効果や幸福感、睡眠改善などが期待されています。
「香り」「匂い」「臭い」は迷いやすい表現ですが、使い方・意味合いが分けられます。
一番大切なのは「相手に正しい情報を伝えること」。
言葉の違いによって受取手のイメージが大きく変わるので、伝えたい表現をしっかりと使い分けることが大切です。