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クリスマスに飲みたい!グリューワインの作り方

冬の冷たい空気を感じ始めると、温かく甘いグリューワインの香りが恋しくなります。グリューワインとは、ヨーロッパのホリデーシーズンに欠かせないホットワインのこと。
クリスマス本番を前に、グリューワインが生まれた背景と香りの魅力、そして自宅で簡単に作れるグリューワインのレシピをご紹介します。

1.冬の香り グリューワインの起源

冬の風物詩である「グリューワイン(Glühwein)」は、ドイツで生まれたホットワインの一種で、赤ワインに果物やスパイスを入れて温めた飲みものです。
甘くスパイシーな香りと味わいは、冷えた体を温め、心もほっと癒してくれます。
そんなグリューワインの起源は、なんと古代ローマにまで遡ります。早速、グリューワインが生まれた背景を見ていきましょう。

ー 古代ローマにまでさかのぼるグリューワインの歴史
グリューワインの原型は、古代ローマにまでさかのぼるといわれています。当時のローマ人兵士たちはイギリスの寒さから体を温めるためにワインにスパイスを加えて温め、薬用として飲んでいました。
彼らが旅を続けてヨーロッパ各地に到達する中で、この”スパイス入りホットワイン”の習慣が各地に伝わり、北欧や中欧の寒冷地でも親しまれるようになりました。

ー 中世ヨーロッパでの広がりと発展
中世に入ると、ワインとスパイスを組み合わせた飲み物は「薬酒」として広く利用され、風邪予防や疲労回復に役立つと信じられていました。
特にシナモンやクローブといった、当時は高価で貴重なスパイスを使ったホットワインは、王侯貴族や富裕層の間で好まれたといいます。この頃から、現代のグリューワインのような甘味を加えたレシピも登場していました。

ー ドイツのクリスマスマーケットとグリューワイン
特にグリューワインが文化として根づいたのは、ドイツやオーストリアなどの「クリスマスマーケット」です。
15世紀頃から始まったクリスマスマーケットでは、寒空の下で提供される温かいグリューワインが、訪れる人々の間で人気を集め、マーケットの風物詩となりました。この飲み物は「光り輝くワイン」という意味があり、温められたワインから立ち上る蒸気が、まるで光を放つように見えたことが由来とされています。

ー 各国に広がるホットワイン文化
ドイツの「グリューワイン」は瞬く間にヨーロッパに広まり、各地で少しずつアレンジが加えられていきました。フランスでは「ヴァン・ショー(Vin Chaud)」、スウェーデンでは「グロッグ(Glögg)」と呼ばれ、地域ごとのスパイスやリキュールが加えられ、独自の味わいが生まれました。
ドイツやスウェーデンでは、家庭でも簡単に作れるグリューワイン用のミックススパイスが市販されており、最近では日本でも輸入・販売されています。

ー グリューワインが今も愛される理由
現在もグリューワインは冬の風物詩として、クリスマスマーケットやそれぞれの家庭で愛され続けています。飲むたびに香り立つスパイスと果実の香りが、寒さの厳しい冬に温もりと癒しの時間を与えてくれます。

こうした長い歴史を持つグリューワインは、時代とともに少しずつ形を変えながらも、今なお私たちに特別な冬のひとときを届けてくれます。
今年の冬は、歴史と伝統を感じながら、香り豊かなグリューワインで心と体を温めてみませんか?

2.グリューワインを作ってみよう

グリューワインの基本材料

赤ワイン:750mL(渋みがある重めタイプ〜中間がおすすめ)
オレンジ:1個(薄切りにスライスして皮ごと使います)
シナモンスティック:1〜2本(香りを引き出します)
クローブ:4〜6粒(ほのかな甘みと深みが増します)
スターアニス:1〜2個(エキゾチックな香りをプラス)
砂糖またはハチミツ:お好みで(甘さを調整)
オプションの果物:りんごやレモンのスライス

<作り方>
1.香りを引き立たせる準備
鍋にワインを入れ、弱火で温めます。沸騰させないよう、ゆっくりと火を通すのがポイント。沸騰させてしまうと、アルコール分とともに香りも飛んでしまうため、温かい状態を保つようにします。

2.スパイスと果物を加える
ワインが温まったら薄切りにしたオレンジ、シナモンスティック、クローブ、スターアニス、好みでリンゴやレモンを鍋に加えます。スパイスや果物から豊かな香りが引き出され、部屋中が甘く優しい香りに包まれます。香りのバランスを見ながら、好みの量に調整しましょう。

3.甘さを調整する
お好みで甘さを加えます。味をみながら、砂糖やはちみつを少量ずつ加えましょう。はちみつを使うと、よりコクのある仕上がりになります。

4.味をなじませる
弱火で15~20分ほど煮込み、スパイスと果物の香りがワインにしっかりと溶け込むのを待ちます。火加減に気を配り、時々軽くかき混ぜながら、グリューワインがマイルドで温かい香りに仕上がっていくのを楽しみましょう。

5.グラスに注ぐ
果物やスパイスを一度取り除き、暖かいまま耐熱グラスやマグカップに注ぎます。シナモンスティックを飾ると、見た目も華やかに仕上がります。

生の果物は皮ごと使用するので無農薬のものがおすすめ。もし手に入らない場合は、使用前に皮をしっかりと洗いましょう。
スターアニスやシナモン、オレンジの皮は体を温める効果があると言われているので、寒い冬にはもってこいの食材です。また、シナモンの香りは気持ちを穏やかにする効果も期待できるため、リラックスしたい日におすすめです。

今回は定番の赤ワインでの作り方をご紹介しましたが、白ワインやロゼワインを使うとまた違った風味のグリューワインが作れますよ。ぜひ、自分好みのグリューワインを作って楽しんでみてくださいね。

3.手軽にできるグリューワイン

グリューワインに使用する赤ワインは、高価なものでなくてOKです。中価格帯のものや、家庭で飲み切れずに残ってしまったワインを活用することも可能です。
しかし開栓から日数が経っているワインは、酸化して味が落ちていたり、風味が悪くなっているのでやめましょう。スパイスは、粉末タイプではなくホールタイプを使用してください。飲んだ時の風味や香り、口当たりがまろやかになりますよ。
また、スパイスは使いすぎにご注意を。きちんと分量を守ることで、バランスの取れた美味しいグリューワインに仕上がります。

グリューワインは冷めると美味しさが半減するため、できるだけ温かい状態でいただきましょう。
飲む瞬間にオレンジの香りやスパイスがふんわりと鼻に抜けるので、深呼吸して香りも一緒に楽しむのがおすすめです。いかがでしたか?
冬の寒さにぴったりのグリューワインは、体の芯まで温まり、ホリデーシーズンの気分を盛り上げてくれます。この冬は、自家製の香り豊かなグリューワインと一緒に、リラックスタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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