【兵庫】有馬の地で歴史を刻み続ける老舗宿
初めて兵庫県を訪問している香り旅編集部。宿泊地は、日本三古泉のひとつ「有馬温泉」とあり、期待に胸が膨らみます。
太閤・豊臣秀吉も繁く通った関西の奥座敷として知られている有馬温泉街には、歴史あるお宿がたくさん!その中で、今回お世話になった「兵衛 向陽閣」をご紹介します。
六甲山の北麓にたたずむ厳かな雰囲気
先に荷物を宿で預かっていただき、有馬温泉街を小一時間ほど散策してきた私たち。
(散策の様子はこちらの記事からご覧ください!)
“真夏の日差し”と”温泉街の勾配”により、大きなダメージを食らったアラサー・アラフォーの体。両膝ガクガク&息の上がった状態でなんとかチェックイン。
汗が一向に引く気配のないまま、お部屋に案内されます。
「ふ〜っ、つっかれたー!!」
緑豊かな森林に囲まれた美しいロケーションが臨める「兵衛向陽閣」。
700年もの歴史と伝統をもつこのお宿は、和を基調とした落ち着いた雰囲気で、東西南北に客室があり、四季折々の景色を客室から楽しむことができます。
この日のお部屋は13階。温泉街の高台に位置しているためか、部屋からは遠くの山々まできれいに見ることができます。
宿泊部 森様へインタビュー
歴史あるお宿にせっかく泊まるのだからと、無理を承知で宿の方へインタビューを依頼。
なんと、快く引き受けてくださいました。
宿泊部に勤務する森様は10年近くお客様のご予約手配やサービスなどをご担当されています。
立派なお宿が軒を連ねる中、向陽閣が700年続いている理由をお伺いしたところ、「どんなお客様であっても、滞在中は心地よく過ごしていただく」ことを大切にしていると教えてくださいました。
チェックイン前に駐車場に車を停めた時も、スタッフの方が丁寧に案内してくださったり、(ハンドル操作まで指示してくれました)入り口までのわずかな時間でさえ、気さくに話しかけてくださったのです。
駐車場からホスピタリティがすごいなんて!!!
衝撃を受けた第一印象でした。
繁忙期ともなると、なんと1日400名以上の宿泊者が訪れることもあるのだとか。
各界の著名人も多く宿泊している向陽閣の館内ギャラリーでは、「大人気アイドルのテレビ撮影が行われました!」そんなパネルも拝見することができます。
さすが、長い歴史のあるお宿。。
昨今、世界中を騒がせていたコロナの影響についてもお伺いしてみました。
「観光業ですので、モロに影響を受けましたね。お客様がゼロになったり、臨時休館せざるを得ない期間もありました。」
昨年あたりからは以前のような活況が戻りつつあるといい、今年に入ってからは特に海外からのお客様がとても多いそう。
「アジア圏からいらっしゃる団体客の方を多くみます。駅前にも観光バスが頻繁に出入りしていますよ。」
日中の”汗だく温泉街散策”でも、アジア圏や欧米の観光客がカメラ片手に温泉街も満喫している姿を多く見かけました。
ここは、温泉街でありながら都市部にもアクセスしやすい立地のため、観光の拠点にする方も多くいるようです。
10〜11月の紅葉シーズンが1年で一番の繁忙期。
「夏の間は少し落ち着きますが、これからもっと有馬に活気が戻ると嬉しいですね。」
森様のやさしい笑顔に、緊張していた心もいつの間にか消え去っていました。
館内には至るところに歴史ある美術品・骨董品が展示されているので、美術館巡りをも擬似体験できますよ。
「金の湯」を堪能
ついに日本最古の湯「金の湯」へ入湯の時。
愛媛県の道後温泉、和歌山県の白浜温泉とともに日本三古泉として愛されてきた有馬温泉。
日中の温泉街散策で、汗だくの中「源泉巡り」をしてきた私たち。
ようやくお風呂に入れる….。
高揚感とワクワク感で足早に温泉へと直行します。
向陽閣では「一の湯」「二の湯」「三の湯」と3つの湯処を楽しむことができます。
この日の女湯は「二の湯」(一の湯との交代制)と「三の湯」(男女それぞれ完備)。
どっちから行こうか吟味した結果、「二の湯」から順番に入ることに。
湯船に浸かってみると、さらりとした肌あたりです。
火山が生み出した源泉ではないため、硫黄のような香りは全くなく温泉特有のふわっとしたやさしい香りに包まれました。
この日は「二の湯」のみで温泉を後にしましたが、根っからの「温泉好き」な私。
翌朝AM5:00睡魔と戦いながら「一の湯」「三の湯」もしっかりと堪能してきましたよ!
夜が明けた直後の淡い空色をボーッと眺めながら露天風呂に入る、あの時間がたまらない。
私にとっては「旅の醍醐味」です。
(2人は、すやすやと夢の中でしたとさ)
浴槽内画像提供/兵衛向陽閣
神戸牛のうまみ
ここからは、途中合流した若手のAちゃんを含めた女3人の旅の始まりです。
神戸にきたら絶対食べたいNo.1「神戸牛」!
編集長から”ちょっとグレードの高い宿泊プラン”のお許しをいただいた私たち。
通常バイキングに「神戸牛銀せいろ蒸し」がついた贅沢コースで、夕食スタート!
バイキングでは、森様に教えていただいた数種類の「煮物」をメインにバランスよくお皿に取っていきます。
しかし、何度経験しても上手に使いきれない「バイキング用のお皿」(細かく仕切られた大皿)の半分を埋められないまま着席。
いただきますの前の撮影会。
私が何を撮っていたかといいますと….
今が旬!「鱧とすだちのお吸い物」。
全国でトップを争う漁獲量を誇る兵庫の鱧は、まさに6〜8月に旬を迎えます。
味は淡白ですが、その歯応えと弾力がクセになる〜
すだちの爽やかさも相まって夏の味でした。
そしていよいよ神戸牛を実食!
薄く切られたお肉は、ひと口食べるとジュワ〜ととろけて脂の甘みが広がりました。
こんなの食べたことない。。。
他のお食事も種類が豊富。
どれもやさしい味付けで疲れた体に染み渡っていくのがわかりました。興奮しながらも、ひと口ずつ味を噛み締めながら夕食を堪能した編集部。
お腹いっぱいになったはずなのに最後にはデザートコーナーものぞき、3人とも思い思いの小さなデザートカップ2種とフルーツ1種を完食。
2人が食べてるのも、美味しそうだねぇ。
「隣の芝生は青く見える」とはよく言ったもの。
しかしフードファイターにはなりきれず、大満足で夕食を終えたのでした。
夜の有馬温泉街を散策
お宿で温泉と食事を満喫した編集部は、浴衣に着替えて夜の温泉街へと繰り出すことに。
「また汗をかいたらどうしよう…」
そんなことを考えながら、貸し出し用の草履に履き替えていざ出発!
宿を出るやいなや、あらわれた急な下り坂。そして、わたしたちの足元は草履。
鼻緒が食い込む痛みをグッと堪えながら小さな歩幅でゆーっくりと下っていきます。
「こういうの、風情あるよね〜」
「こういうの、やりたかったんだよね〜」
先ほどの痛みはどこへやら。早くも夜の街並みを堪能する私たち。
問題の暑さですが、私たちの心配をよそにひんやりと感じられるくらい心地よい風が吹いていました。
「快適♪快適♪」
2人が立っているこの「太閤橋」は、有馬温泉駅のすぐ近くを流れる有馬川にかかっています。有馬温泉をこよなく愛した豊臣秀吉にちなんで命名され、温泉街の中でも一際目立つ存在。
日中は車や人が行き交っており賑やかでしたが、夜はライトアップされ幻想的な雰囲気に。
橋の下には川沿いに歩道が整備されており、浴衣姿のファミリーやカップルも思い想いに夜の有馬温泉を楽しんでいるようでした。
滞在中、数名スタッフの方と廊下ですれ違うことがあったのですが、みなさま立ち止まって「ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」と、笑顔でお辞儀をしてくださいました。
今回は仕事で訪れましたが、そんなことを忘れてしまうくらいリラックスできた素敵な滞在でした。
みなさんも有馬温泉に訪れた際には、ぜひ宿泊してみてくださいね。
<今回お世話になったところ>
「兵衛向陽閣」
兵庫県神戸市北区有馬町1904
078-904-0501(代)
HP