香りと旅して

香りと旅して

【兵庫】温泉の香りを探して

兵庫県 新神戸駅から車で約20分。今回の目的地「有馬温泉」にやってきた香り旅編集部。
「温泉の香りってどんなだろう…」「街中、温泉の香りなのかな..」
初めて訪れる地に期待を膨らませながら真夏の有馬温泉街を散策します。

太閤 豊臣秀吉も愛した温泉街

私たちが到着したのはお昼過ぎ。既に観光客で賑わっています。
今回宿泊するお宿「兵衛向陽閣」へ荷物を預け、身軽になった私たちもいざ温泉街散策へ出発!

親の影響をモロに受けた私は根っからの温泉好き。
取材が決まった時から「温泉の香り」を楽しみにしていました。有馬温泉には、なんと「金泉」「銀泉」「炭酸泉」と3箇所の源泉があり、全て歩いて行ける距離にあるとのこと!

これは是非とも見に行きたい。。

温泉街でのチェックポイントとルートを念入りに調べたメモとカメラを片手にまずはこちらへご挨拶。

温泉街に流れる有馬川にかかる「ねね橋」と「ねね像」。太閤秀吉の正妻で二人でこの地を度々訪れ、湯治を楽しんでいたそう。ねね像の見つめる先には、秀吉坐像も設置されており、仲睦まじさが伺えます。

私たちも有馬温泉を満喫しますね。

続いては、第一のお目当て「金泉(天神泉源)」へ向かいます。
徒歩3分ほどの道のりでしたが、温泉街は坂道だらけ。アラサー・アラフォー世代のわたしたちには体にちょっと堪えます。

有馬が誇る源泉を巡る

ようやく近くまでたどり着くと何やら景色が一変。

民家の石壁や配管、ホースなどありとあらゆるものが赤褐色になっています。配管には源泉が流れているのか「熱湯注意」の札が。

なんだなんだ。

ここは「有馬天神社」として地元の方にも馴染み深い場所。どうやらここに「金泉(天神泉源)」があるようです。

神社に源泉…?

不思議に思いながら、一礼をして鳥居をくぐると…

境内の中にはものすごい勢いで湯気が吹き出す大きな窯のようなものが。そして、その奥には静かにたたずむお社。

不思議な光景に戸惑いつつも早速香りチェック!

滑稽な体勢ですが、真剣そのもの。風向きを見ながら湯気を全身で浴びたい一新です。

硫黄のような感じもするけど、キツい匂いは一切しない…。
なんだろうか、この温泉の香りは。

数分間、無言で香りチェックをした編集部。二人して首を傾げながら、あぁでもないこうでもないと香りについて議論した結果、出した答えがこれ。

「錆っぽい匂い。」

それもそのはず。
どうやら金泉をはじめとする有馬の温泉は、鉄分を多く含んでいるのだそう。そのため、湧き出たお湯は空気に触れると赤褐色に変色し、周囲もその色に染められていたのです。

錆っぽいけれど、温泉の温もりを感じられるやさしい匂いに癒された編集部。
天神様にご挨拶を済ませ、次なる目的地「銀泉(極楽泉源)」へと向かいます。
(既に日差しと湯けむりにより汗だく。)

「銀泉(極楽泉源)」の周囲も赤褐色に染められています。しかし、先ほどの金泉ほどの鉄分は含まれておらず主成分も異なるため、お湯は無色透明のままのようです。

さらに調べてみると、銀泉は二酸化炭素を多く含んだ発泡性のある炭酸泉とのこと。

窯の周りにはロープが張られており、湯けむりを浴びることはできませんでしたが、金泉と同様マイルドな温泉の香りがほのかに感じられました。

源泉を試飲?!

最後に向かったのは「炭酸泉源」。
道路沿いの案内板に導かれるまま進んでいくと、、かなり急な登り坂が出現。

躊躇する気持ちを押しころし、膝に手を当てながら上った先に「炭酸泉源広場」が現れました。

この源泉は先ほどの銀の湯にも引かれており、炭酸ガスを含んでいます。かつては、砂糖を入れてサイダーとして飲まれていたそうで社の横にはなんと「試飲用」と書かれた蛇口を発見。

サイダーとして飲んでいたのか♪暑いし、炭酸飲みたかったんだよな〜
ちょっぴりワクワクしながらズズッとひと口。

うっ…..!

浮わついた気持ちは軽やかに裏切られ、ほんのり苦味を感じる超微炭酸のぬるい水といった感じ。香りは特にありません。

これは是非相方にも体験してもらわなければ!
「炭酸の源泉が飲めるらしいですよ!」などとほのめかして飲んでもらいましたが、しばらく硬直したあと顔をしかめて無言でその場を立ち去って行きました。(ごめんなさい。)

周辺を撮影をしている間にも、観光と見られる方々が数名訪れ、蛇口を見つけては同じようにズズッとひと口。そして、みなさん無言でその場をウロウロ。
…そうなるよね。

お世辞にも美味しいとは言えないけれど、訪れたら是非試してみてくださいね♪
(絶対試したくなるはずです。)

有馬温泉の銘菓たち

温泉街の中心へもどる道中に、何やら香ばしいあま〜い香りが。

ガラス越しに見えたのは、有馬温泉の銘菓「炭酸煎餅」。
先ほどの炭酸泉で小麦粉、砂糖、でんぷんなどを練った生地を伝統の製法で焼き上げるやさしい甘さのお煎餅です。

温泉街散策のお供として食べ歩きができ、お土産としても人気のひとつ。
店先では、多くの観光客で長蛇の列ができていました。

さらに数件隣の店先にはこんな暖簾も発見。

あー、美味しそう。。でも、宿に戻ったらすぐに夕食の時間だわ。
源泉よりは絶対に美味しいんだろうな。

空腹と葛藤しながらここはガマン。(大人なので)
す〜っとお腹いっぱいに甘い空気を吸い込んで、その場を後にします。

既に1〜2時間歩き回っていた私たちは、汗びしょ×足が棒のよう。温泉街の撮影をしながら坂道を下っていきます。(一刻も早く涼しいところへ入りたい一心)

ようやくメインの大通りへと戻ってきた私たちは、最後に有馬温泉駅へ立ち寄ることに。
改札前に店を構える「きんせん堂」の名物は、有馬の金の湯をイメージして作られた生菓子「金泉焼」。

お土産としても隠れた人気を誇るこちら。
持ち帰って食べてみると、もちっとした柔らかい食感の生地はほんのりと香ばしい醤油の風味。中には、こし餡がたっぷり詰まっていました。

常温で食べ終わった後に知りましたが、フライパンで両面を軽く焼くもしくは冷蔵庫で冷やすとさらにおいしさが増すのだとか。

ちぇ。先に冷やしておけばよかった。

真夏の温泉街散策を終えた私たちは、ようやくゴールの宿へ到着。
宿スタッフの爽やかな「おかえりなさいませ。」とキンキンに冷やされたフロントロビーに出迎えられ、滝汗のまま宿へとチェックインを済ませます。

続きは「有馬の地で歴史を刻み続ける老舗宿」の記事をご覧ください。

<今回の見どころ>
・「金泉源(天神泉)」
兵庫県神戸市北区有馬町14-2
・「銀泉源(極楽泉源)」
兵庫県神戸市北区有馬町1039
・「炭酸泉源広場」
兵庫県神戸市北区有馬町

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