香りと旅して

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【兵庫】春の丹波篠山城下町をぶらり散策

新神戸駅から北へ1時間。
綺麗な山々に囲まれた、まさに「里山」という言葉がぴったりな、どこか懐かしい風景が広がる丹波篠山を訪れた香り旅編集部。
篠山城周辺に今もなお残る古き良き城下町を気ままに散策していきます。

日本遺産の町「丹波篠山」

丹波篠山は、篠山城を中心に城下町として栄えた地域です。
このエリアで時折見かけた「デカンショ」という聞き慣れない言葉。通りの名前になっていたり、至る所の張り紙やのぼりにも書いてあります。

デカンショってなんだ???

調べてみると、篠山地区に江戸時代から伝わる民謡を「デカンショ節」ということがわかりました。
時代ごとの地域の風土や人情、名所、名産品が代々歌い継がれていて、今でははんと300番(!)にものぼるとのこと。

さらに、丹波篠山のデカンショ節は、2015年に創設された「日本遺産」制度の第一期目に認定されているというほど。日本にとっても貴重な文化財として守られています。

私たちが今回取材した「丹波焼」も2017年に日本遺産に選ばれていて、丹波篠山はまさに「日本遺産の町」なのです。

なんだか可愛い町の看板

篠山城とともに栄えた城下町

篠山城を囲うように東西南北に広がる、昔ながらの町並みが残る篠山城下町。
歴史情緒溢れる町並みには、篠山城跡大書院や武家屋敷などの歴史資料館もあり、日本の歴史や古き良き文化に触れることができます。

周辺の商店街では、グルメやショッピングが楽しめ、平日にもかかわらず観光客の姿も多く見られます。編集部が訪れたのは4月上旬、城跡の周りの桜はまさに満開のピーク。

駐車場に停まっていた複数の観光バスからは、外国人のツアー客の姿も。みなさん既に半袖姿!!
まだまだコートが手放せない寒がり編集部も、せっかくなので篠山城跡もしばし散策。

桜の季節も人気の丹波篠山ですが、秋が一番にぎわうシーズン。
というのも、この土地の名産品「黒枝豆」が10月初旬から解禁となり、その味を求めて日本各地から観光客が殺到。なんと、高速道路から降りられないくらい混雑するほど。

冬になると猪肉をふんだんに使った「ぼたん鍋」を食べに来る観光客が多く、毎年通うリピーターもいるのだとか。

地のものを食べにくるという、ツウな旅の楽しみ方です。

ご当地のご飯ってかなり魅力的でワクワクしますよね!
(私は季節問わずに、”ご当地ソフトクリーム”を狙っています。)

古き良きを伝える「篠山城下町ホテルNIPPONIA」

今回の旅のお宿は「城下町にとけこむように泊まる体験を」をコンセプトに誕生した「篠山城下町ホテルNIPPONIA」さん。なんとここ、日本で初めての”分散型ホテル”として誕生し、この篠山城下町に9棟20室を構えるお宿です。

篠山城下町ホテルが管理する宿泊棟は「ONAE」「NOZI」「YOMENA」などなど、なんだか聞き馴染みのない名前ばかり。
チェックインを担当してくださった篠山が地元だというコンシェルジュさんに、名前の由来を尋ねてみると、すべて「菊の品種」から名付けられているとのこと。

中でも、母屋の名前にもなっている「お苗菊(おなえぎく)」は、旧篠山藩の青山忠良公がこの地に広めた品種で、江戸時代から伝わる丹波篠山特有の花。毎年11月上旬には丸くて大きな花が咲き乱れるそうです。

土間やかまどは当時のまま

私たちが今回宿泊したお部屋も母屋ONAE棟の2階。
明治期に建てられた元銀行経営者の邸宅を改修した建物で、景観重要建造物第1号に指定されています。

NIPPONIAさんのコンセプトは、「建物が最も輝いていた時代の趣や風情を取り戻す」こと。
宿泊中は非日常空間を存分に味わってもらうため、お部屋にはテレビや時計は一切ありません。

チェックイン時には、コンシェルジュの手書きによる篠山城下町の過ごし方やおすすめのお土産屋さんや景色を楽しめる場所が書かれたマップがもらえます。
温かみのある細やかな心配りは、まさに「日本のおもてなし」ですね。

「日常の喧騒を離れて城下町でのひとときをごゆっくりお過ごしくださいませ。」
スタッフさんの優しさに感謝しつつ、早速お部屋の中へ。扉を開ける瞬間ってワクワクしますよね。

歴史と趣を感じるお部屋は、広々とした寝室、そして一段下がったところに前室と和室があり、2人では贅沢すぎる広さです。
柱や窓、部屋の仕切り戸は当時の雰囲気がそのまま残り、温かみを感じます。

夕方からの取材に備え、荷物を置いてホッと一息。束の間の休憩。

……と、いきたいところですが、そうもしていられないのが香り旅の実情。
カメラを片手に手分けして室内をパシャパシャと撮影していきます。

(普段は取材後の暗くなった時間帯にチェックインをするので、明るいお部屋を撮影できるのはいつも早朝なのです。)

景観やお部屋と合わせ、”地元の食材を使った贅沢なお食事”も魅力のひとつ。丹波篠山周辺は、黒大豆、丹波栗、丹波松茸、山の芋をはじめとする食の宝庫。
風も土も、資材も含めて、丹波篠山を五感で感じてほしいという想いから地元の食材を生かしたフレンチを提供しています。

今回は残念ながら素泊まりでしたが、宿泊される際はぜひともお食事つきプランがおすすめです!

河原町妻入商家群で江戸時代にタイムスリップ!

篠山城の南東にある河原町妻入商家群は、篠山城が作られた江戸時代の古い街並みが今もなお残るエリア。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、約600mの通りに沿って歴史的景観をみることができます。

篠山川沿いの国道から1本外れると、”うなぎの寝床”とも呼ばれる当時の建造物がずらりと並んでいます。カメラを片手に歩いていると、リノベーションされたショップやカフェがちらほら。

その中には、NIPPONIAさんの宿泊棟もいくつかあり、どの建物も趣を感じる雰囲気です。

昔ながらの畳屋さんの前を通ると、い草の香りがほんのりと感じられ、さらに進むとどこからともなく珈琲を淹れる香ばしい香りが漂ってきます。
朝早くに散策したためか、どのお店もオープン準備をしている様子。

せっかくだからお店を覗きたいなぁ。

そんなことを思いながらあっという間に600mの街並みを歩ききり、次の目的地へと向かいます。

290年以上の歴史ある豆類専門店「小田垣商店」

丹波と聞いて真っ先に思いついた、丹波黒豆。
NIPPONIAのコンシェルジュさんにもおすすめしていただいた「小田垣商店」さんへ。

立派な店構えの小田垣商店さんは、享保19年創業の老舗店。
突撃取材にもかかわらず、撮影もご快諾いただき早速店内へ。

2021年にリニューアルしたという店内は、厳かで落ち着いた雰囲気。ずらりと商品が陳列されています。どれも美味しそう…..。
カフェも併設されていますが、この日は定休日。奥は、豆を選別する工場へとつながっています。

小田垣商店さんでは、丹波黒大豆と丹波大納言小豆にこだわり、手撰り選別で良質な商品を販売しています。
丹波の黒豆(丹波黒)は、兵庫県丹波地方発祥の黒大豆の品種です。粒は大きく形は丸く、食感はふっくら、もっちり口当たりの良さが特徴。売られている黒豆を見ていても、今までに見たことがないくらいのサイズで立派な大粒!

美味しそうな商品が並ぶ中、一番人気はこちらの「しぼり豆」。
厳選した大粒の黒豆煮豆を乾燥させた甘納豆です。私たちが宿泊したNIPPONIAさんでは、ウェルカムサービスとして黒豆茶とともに提供していただけます。
素朴な甘さともっちりとした食感がクセになる美味しさ!

他にも、煎り黒豆にチョココーティングした洋風菓子や黒豆からできたお味噌やコーヒーなど。
本当に多岐に渡った商品がたくさん!

黒豆ってこんなに色々な活用法があるのか…..。
興味津々で店内を何周もぐるぐる巡ってしまいます。

「毎年、秋になるとお店の前の通りは観光客のみなさんでごった返すんですよ。このお店の中も人がすれ違うのがやっとなくらいで。一年で一番活気が出る時期ですね。」
「嬉しいことに、海外のお客様もたくさん来てくれて。黒豆の美味しさや素晴らしさをもっとたくさんの方に伝えていきたいと思っています。」
広報担当の瀬川さんが丁寧に説明してくれます。

小田垣商店さんのホームページも英文対応がされており、まさにグローバル。

この日も海外からのお客さんが数名訪れて、黒豆商品を興味深く選んでいる姿が印象的でした。

取材を終えた編集部も、ショッピングバッグを持ってお買い物。
私は取材中にずーっと気になっていた、隣接のカフェで提供しているコーヒーの豆とグラノーラを購入。
近々キャンプへ行く予定があるので、コーヒーを挽いて至福のひとときを味わいたいと思います。

風情と情緒溢れる丹波篠山。
ゆったりとした空気が流れる歴史ある町並みにとっても癒された香り旅でした。

最後に、篠山城の入り口近くにある「大正ロマン館」さんでいただいた「黒豆ソフトクリーム」をどうぞ。ソフトなのに黒豆の香ばしさがふわりと口の中に広がって美味しかった〜。

<今回お世話になったところ>
・篠山城下町ホテル NIPPONIA
兵庫県丹波篠山市西町25番地(ONAE棟)
HP

・小田垣商店
兵庫県丹波篠山市立町19番地
HP

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