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食欲をそそる!香りのよい食べ物

商店街やデパ地下などを歩いていて、食べ物の美味しそうな香りに思わず立ち寄ったり、購入してしまった、という経験はありませんか?
今回はそんな、食欲をそそる “香りのよい食べ物” をご紹介。王道のメニューから番外編まで、香り旅編集部独自の視点でお届けします。

1.美味しそうな食べ物の香り

「美味しそうな香り」はわたしたちの食欲を刺激するだけでなく、食べる前の期待感を高めてくれたり、食べ物をより美味しく感じさせてくれます。
このコラムでは、多くの人が「いい匂い!」「お腹が空いてくる!」と思う食べ物や、調味料・調理方法など、それぞれの香りの正体を紐解きながらご紹介。
ぜひ、香りを想像しながらお楽しみください♪

2.パンが焼ける香り

パン屋の前から香ってくる、香ばしい「焼きたてのパンの香り」。
香りに誘われてついついお店に入ってしまったり、パンの香りを嗅ぐだけで幸せな気持ちになる!という方も多いかもしれません。

焼きたてのパンの香りの正体は、「メイラード反応」と呼ばれる化学反応によるもの。
メイラード反応とは、加熱によって糖とアミノ酸などが化学反応を起こし、メラノイジンという褐色の物質などができる反応のこと。パン作りにおいても、生地の糖分とアミノ酸などが加熱によって反応し、あの香ばしさと独特の香りを生み出しています。
この過程で生成される物質には、甘みのある香りやナッツのような香ばしさを持つもの、ほのかなキャラメル香を放つものなどがあります。
オーブンから立ち上る香りは、心まで温かな気持ちにしてくれます。

3.肉の焼ける香り

焼肉屋から漂う「肉の焼ける香り」も、食欲が刺激されますよね。
この香りは「メイラード反応」と「熱分解」によって生まれます。
高温で加熱すると、肉に含まれる糖分とアミノ酸が反応し、香ばしい香りの成分が生成されます。さらに、脂肪が分解されて、うま味や風味を増す揮発性物質が放出されます。これらの香りが混ざり合い、香ばしさと独特の香りが食欲をかき立てています。
肉が焼ける時の「ジューッ」という音もまた魅力的ですよね。

4.カレーの香り

子どもから大人まで、幅広い世代に人気の「カレー」。具材や辛さなどバリエーションも豊富で、日本の国民食とも呼べるメニューです。
夕飯時には住宅街から香ってくることもあり、「このお家は今夜はカレーかぁ」などと思うと、なんだかほっこりしますよね。

カレーの香りはスパイスの組み合わせによって生まれています。主にクミン、コリアンダー、ターメリック、クローブ、シナモン、カルダモンなどのスパイスが使用され、配合次第で香りに違いが出たり、辛味や酸味などの特徴が出てきます。
これらのスパイスが加熱されることで、それぞれの香り成分が引き出されたり、相互作用で新たな香りが生まれます。また、玉ねぎやニンニクなど具材の香ばしさも加わり、食欲をそそる独特な香りに仕上がるのです。

5.番外編

ここからは、調味料や調理方法特有の香りをご紹介。
上記のメニュー同様、加熱をすることで香りが立ったり、湯気とともに香りが広がりやすくなります。これらの香りは食欲をそそるだけでなく、家庭の味を思い起こさせてくれたり、外食などの高揚感を楽しませてくれる力もあります。

醤油(しょうゆ)の香り

日本人の食卓に欠かせない「しょうゆ」。
焼きおにぎりやうなぎの蒲焼など、しょうゆの香ばしい香りは、加熱による「メイラード反応」と「カラメル化」によって生まれます。しょうゆが高温に触れることで糖分とアミノ酸が反応し、香ばしさや甘みを伴う香り成分が生成されます。さらに、カラメル化が進むことで、しょうゆの色合いが濃くなると同時に、甘みとコクが引き立ち、独特の風味が完成します。

この他、パスタやキノコソテーといった、”バター醤油” のこっくりとした洋風の香りもまた、食欲をそそられる味付けの一つです。

ソースの香り

お好み焼きや焼きそばなどの「ソース」の香りも食欲をそそりますよね。
このソースの香りも、しょうゆと同じ「メイラード反応」と「カラメル化」が同時に進むことで生まれます。ソースに含まれる糖分、アミノ酸、香辛料が加熱によって反応し、複雑で甘みのある香りが引き出されます。また、ソースの中に含まれるフルーツや野菜の成分が加熱でさらに濃縮され、酸味と甘味が調和して深みのある香りに変化しているのです。

炭火焼きの香り

焼き鳥や浜焼き、バーベキューなどで感じる香ばしい香りは、「炭火焼き」ならではのもの。
家庭ではなかなかできない調理方法のため、“非日常感”や “特別感” も味わうことができますよね。

炭火焼きの香りが食欲をそそるのは、「香り成分の生成」と「煙による風味付け」が大きな理由。
炭火の火力で肉や魚の表面を素早く焼き、「メイラード反応」と「カラメル化」が進むことで香ばしい香り成分が作られます。また、炭火から発生する煙が食材に付着し、わずかに燻製風味が加わることで、より深みのある香りを楽しむことができます。

いかがでしたか?
香りを楽しむことも、食の豊かさを味わう方法の一つです。
香りを意識してみることで、自分の好みにも新たな発見があるかもしれませんね。

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