季節の香り「冬の香り」
一般的に「気温が低いと匂いを感じにくい」と言われていますが、「冬の匂い」を感じる人も少なくありません。今回はそんな冬の匂いの正体や、冬に咲く植物などをご紹介します。
1.季節の匂いの正体
日本には四季があり、特有の匂いを感じると季節の変わり目だということに気がつくことがあります。私たちが季節の匂いを感じとる理由には、下記の理由があげられます。
・気圧や湿度の変化
・気温の変化による体感の違い
・季節による開花する花の違い
・湿度による土壌の変化
・過去の経験や記憶
匂いは記憶に直接働きかける作用があるため、人によっては自然の変化ではない香りを季節の香りと感じることもあります。
このように、繊細な香りの違いを感じ取って「季節の香り」と表現しているのです。
2.冬の匂いってどんなイメージ?
冬の匂いと聞いて、どんなものをイメージしますか?多くの人が「冬の匂い」を感じる瞬間をまとめてみました。
・鼻の奥をツンと刺激するような乾いた冷たい空気の匂い
・布団でゆっくりと温まるほんわかとした匂い
・ストーブや暖炉のじんわりとした温かい匂い
・冬ならではの食べ物の匂い
など
冬そのものに匂いがあるわけではなく、キーポイントは私たちの「記憶」。
例えば、子どもの頃暗くなるまで外で遊んでいた時に、冬の冷たい空気を感じていたとします。大人になって、その冷たい空気を改めて感じた時に「冬が来たな」「子どもの頃寒くても外でよく遊んでいたな」と匂いと思い出がリンクして「冷たい空気=冬の匂い」として認識するのです。
3.冬に咲く花や木々からも「冬の匂い」は楽しめる!
スイセン
スイセンは、10〜1月に花を咲かせます。国内で切り花として流通している日本水仙(ニホンスイセン)のほとんどは、正月用や生花用として用いられています。
雪の中でも咲くほど丈夫なスイセンは、少し甘みのある香りを感じることができます。また、スパイスのような香りを楽しめる品種もあり、その香りは様々です。
ロウバイ
ロウバイは、1〜2月に咲く低木。梅とよく間違えられますが、全く別の植物です。カスタードクリームのような柔らかな黄色の花は、ロウでコーティングしたような半透明の質感が特徴です。
冬の寒い時期に咲くロウバイからは、甘く優しい香りが漂ってきます。水仙の甘みを感じる香りとも異なり、ふんわりとした印象を与えてくれます。
ヒイラギ
ヒイラギは漢字で書くと「柊」。まさに冬の植物です。ヒイラギの葉はクリスマスの飾りとしても有名ですが、11〜12月にかけて咲く花は、とっても豊潤な香り。
秋の代表的な花「金木犀」と同じように甘さがありますが、少々淡白な印象です。
香り立ちは金木犀ほど強くはないので、街中で見かけたらぜひ顔を近づけて香りを確認してみてくださいね。
季節の香りは、人それぞれ異なります。みなさんが感じる「冬の香り」はなんでしょうか。季節の移ろいを五感で感じながら冬を楽しみましょう。